授乳中に使える風邪薬についてご質問をいただきましたので、ポイントを共有したいと思います。

まず前提として、授乳中の風邪薬は 「使える」「使えない」と明確に分類されているわけではありません。実際には、はっきり線引きされていない薬がほとんどです。

さらに、エビデンス上は安全とされていてもメーカー側が「授乳中は避ける」としている薬もあり、非常に慎重な判断が必要になります。

※たとえば、メチルエフェドリンは ルルシリーズでは使用不可 とされていますが、パブロンシリーズでは 「医師等へ相談」 に分類されています。

このように製品ごとに扱いが異なるため、考え方としては
「エビデンス的にも、メーカー的にも使用が認められている薬」
を選ぶことが大切になります。つまり 最も安全性に問題がない選択肢を取る 必要があります。

その観点から見ると、

  • メチルエフェドリン
  • ジヒドロコデイン

    といった成分は授乳中はまず使用できません。

また、ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン薬は比較的安全とされるものの、

  • 新生児では使用不可
  • 乳児の鎮静の可能性
  • 母親自身の強い眠気
    などの点から、積極的には勧めにくい成分です。

その結果、多くの総合感冒薬(風邪薬)が授乳中には不向き となります。

したがって、授乳中は「総合風邪薬」に頼るのではなく症状ごとに安全性の高い薬を個別に選ぶ必要があるという考え方になります。

具体的に使いやすい選択肢は、次の画像にまとめているものが該当します。

以下、簡単な解説を入れておきます。

☑ 熱・喉の痛み

安全性が確立しているのは アセトアミノフェンイブプロフェン です。
ただし催眠鎮静成分が一緒に配合されているタイプは授乳中は避ける必要があります。
そのため解熱鎮痛成分の単剤を選ぶ ことをおすすめします。


☑ 鼻の症状

風邪薬には抗ヒスタミン薬がよく使われますが、

  • 乳児への鎮静作用
  • 母親自身の眠気
    といった影響があるため、授乳中には推奨されません。

代わりに

  • 小青竜湯(漢方)
  • 抗ヒスタミン薬の点鼻薬
    が選択肢になります。
    点鼻薬であれば体内への吸収が少なく、鎮静作用の心配がかなり軽減されます。

☑ 咳

乾いた咳には デキストロメトルファン が使用できます。
また、漢方の 麦門冬湯 も授乳中に使える咳の薬として候補になります。


☑ 喉の痛み

ぺラックT錠やのどぬーる鎮痛カプセルに含まれる トラネキサム酸 は、授乳中でも安全性が確立されています。
さらに、アズレンスルホン酸ナトリウム を含むトローチやスプレーも使用可能です。


☑ 痰が絡む咳

主要な去痰薬である

  • ストナ去痰カプセル
  • ムコダイン去たん錠Pro(L-カルボシステイン)
    はいずれも 授乳中に使用可能な成分 です。